創業43年。「義」の精神で歩んできた”株式会社タケノ代表取締役 竹野孔さん”
竹野孔さんのプロフィール
出身地 福岡
活動地域 福岡
経歴 21歳の大学生の時、父がやっていた食堂が倒産。家族がバラバラにならないようにと残ったお金で必死で5坪13席の小さな焼き鳥屋を始める。そこから数多くの失敗を乗り越え、事業を拡大し、「すべては、お客様の笑顔のために」という一貫した想いで現在まで事業を展開。
現在の職業及び活動 株式会社タケノ代表取締役
年商30億円規模の、さまざま業態の飲食事業をはじめ、通販、農業生産法人、海外事業などを展開。飲食事業は現在35店舗。毎年20%の伸び率で会社を成長させている。
「竹乃屋」、「ビストロタケノヤ」、「エッグ&チキンTAKENOYA」、「天ぷらえびす」、とんかつ&から揚げ「あかね農場」、博多一口肉餃子「一口」、「肉バルGOTCHA」は地域に根付いたお店として多くの人に愛されている。また、平飼いの卵「つまんでご卵」は多くの反響を呼び、TVや雑誌で取り上げられている。
座右の銘 「義」「積誠動人」
「生産者の支援ができるようになってきたことが喜び」
Q:どのような夢やビジョンをお持ちですか?
竹野孔さん(以下竹野):夢・・・・。何ですかね。とにかく目の前のことを一生懸命やってきたので(笑)。
今、お役に立てているなと思うことは、生産者の支援ができるようになってきたことですね。
今、宮崎の養豚場と契約して完全無薬で豚を育てています。完全無薬で養豚をしているのは日本で数箇所だけ。養鶏場も完全オーガニックで平飼いしています。生産者が良いものを作って競りに出しても値がつかなくて困る現状があって、うちに相談がきたので、そこの養豚場が育てた豚を全頭、市場の高値以上の価格で買うようにしました。米も朝倉と大分で生産していて、うちが買っています。生産者の方は、自分が作ったものが買ってもらえるのがわかっていれば安心して生産ができるので、そういう応援をしています。だからこそ、うちが成長、規模拡大しないと更に大きな応援はできないと最近思うようになりました。
記者:生産者の方の安心は安全はそのままお客様へ届くので素敵な関係性ですね。
「一番は、お客様の満足度を大事にすること」
Q:夢、VISIONを具現化する為にどのような目標や計画をたてていますか?
竹野:100店舗100億の売上を達成する企業になっていきたいという目標はあります。2019年は勝負の年で、10店舗を出すことに決めました。新規が8店舗。リニューアルが2店舗。来年に出す分ももう決まっています。あと、今年は上場に向け準備をしています。
ただ、100店舗100億の売上を達成したいと言っても、数字だけ追うとろくなことがない。数字は大事なことではあるけれど、お客様不在になって利益中心になったら絶対失敗します。私は今までそれでいっぱい失敗してきました。店舗を出して潰した数は九州一じゃないかな(笑)
一番は、お客様の満足度を大事にすること。社員にそれをどう伝えていくか。それを伝えるために社員が「仕事が好きになるきっかけ」をつくる仕組みなど、いろいろ工夫をしています。
「4つの幸せを仕事を通して提供する」
Qその目標や計画に対して現在どのような活動指針を持って、何を実践されていますか?
竹野:1、すべてはお客様の笑顔のために
2、ともに働く仲間の幸福の追及
3、社会に明日への活力を与える
株式会社タケノは、この3つを経営理念にしています。
私は、40歳くらいから10年程、「何のために生きているのか」「なぜ仕事をするのか」をずっと考えてきました。その後、病気をしたりもして、やっと最近少しわかってきたのですが、人間は誰しも幸せになりたいんですね。
皆、幸せになる為に生きているんです。
そして、人間には4つの究極の幸せがある。
① 人に愛されること
② 人に褒められること
③ 人に役に立つこと
④ 人に必要とされること
これって、実は全部仕事で得ることができるんです。
お客様に愛される、お客様に褒められる、お客様の役に立つ、お客様に必要とされる、そういう店をつくっていけば、自分が幸せになることができる。生きる目的と仕事の目的は一緒なんです。2ヶ月に一回は僕が直接新人研修をやって、それを社員に伝えるようにしています。
また、社員に対しても、正当に評価をすること、「ちゃんと観ているよ」ということを伝えて、本人が自己受容ができることを大事にしています。
私は今まで自分の素を出す事で、自分の周りで支えて来てくれた人に苦労かけてきた部分は大きいと思うので、これからは自分が素でいても周りが苦痛でなくなるような素をつくって、職場の環境創りもしていきたいと思っていますね。
「ともに働く仲間の幸福の追求」
Q:竹野さんが今の夢を持たれるようになったきっかけは何ですか?
竹野:マズローが欲求の段階を整理しているように、店を始めた頃にやりたかったことと、今やりたいこととは全然違っていて、どんどん変わっていきました。始めは、親父が20年やってきた食堂が潰れて、お金の為、家族が一緒に生きていくためにどうするか?というところから始まりました。そこで焼き鳥屋を始めて、「こんな面白いもんないね!!」って思うようになって、必死で働いて、店を超繁盛店に育てて、ベンツ、ポルシェ、ハーレー、好きなものを買いました。当時は物欲の世界だけで大きな夢は無かったですね。
でも、40歳くらいになった頃、従業員に「社長、この会社は定年は何歳ですか?」って聞かれたんです。飲食業界はずっと勤める人は少なくて、皆うちで修行したら独立していく。だから当時は「定年まで働く」ということを考えたことがなかったんですけど、その時から「ちゃんとした会社にせなならん」「人がずっと働ける会社ってどんな会社なんだろう?」「会社の使命とは何だろう?」と考えるようになりました。
あと、うちで修行して独立していった人たちが成功しなかったこともあり、料理の仕方や接客は教えても、経営というものをを教えていなかったからだと気付き、そこから経営についても勉強して、企業研究をしたり、「ともに働く仲間の幸福って何だろう?」と先人に学ぶようになりました。物心両面の幸福といいますが、精神的なとこは教えきれなくても、経済的なところは守ってやらないといけない。1店舗じゃ社員の給料もあげれない、と思ったときに、それなりに店舗数も増やして事業の拡大もしなければ、と夢やビジョンと行動が変わっていきました。
「新しいチャレンジは楽しい!」
Q:竹野さんがいろんなチャレンジをされてきた中での発見や気づきを教えてください。
竹野:焼き鳥屋を始めた頃、1対1のこんな近い距離でお客さんに接して喜んでもらえて、「こんな面白いものない!」と思い始めたんです。
「楽しい!」と思うと1日15時間働くのが当たり前で、失敗のプレッシャーよりも新しいチャレンジすることのほうが楽しくなり、寝ずに仕事をするくらい楽しくて、苦しい世界さえも楽しめるようになりました。今では「趣味は仕事。本業は遊び。」ですね。
きっかけは何でもよくて、動機は不純でもいい。私欲でもいい。自分が楽しい!と火が付くようなことが人間は必要だと思います。
「義」「義侠」
Q:そのような発見や気づきに至ることができた竹野さんの背景には何があったのでしょうか?
竹野:僕は剣道、柔道、空手とかのスポーツをやってきた人間なんです。その世界って「義」「義侠」の世界なんです。その世界があって、「自分が目標を決めたら、やるしかない」でずっとやり続けてきました。
損得、善悪、好き嫌いではないんです。やると決めたらやる。そして、いろんな人に支えられて生きているから、恩義に報いる。恩を返す。恩送りをする生き方をしたいですね。それをずっと大事にしてきました。
記者:その心・精神があるから、ここまで続けてこられて、多くの人に愛される会社を育てあげることが出来たんですね。本日は貴重なお話本当にありがとうございました!
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竹野さんのについての情報はこちらから↓↓
株式会社タケノHP:https://www.takeno.co.jp/company
日本の社長.TV : https://j-president.net/fukuoka/takeno/
【編集後記】
今回インタビューをした新原、風見、高村です。
竹野さんのチャレンジ精神の背景に、深い「義」の心を感じました。それが竹野さんの強さ、折れない精神に繋がっていて、まさに日本が本来もっている美しい生き方を実践されている方だと感じました。
竹野さんの、損得、善悪、好き嫌いに囚われず、「やると決めたらやる」というブレない生き方は、この激動の時代に多くの人に必要なメッセージであると感じたと同時に、竹野さん自身が心から楽しんでらっしゃる姿が印象的でした。
これからの更なるご活躍を楽しみにしています!