わたしは星のかけら 宇宙はひとつのいのち / アーティスト∀KIKOさん

日本全国各地で個展やARTGYPSY ARTSHOWを行いながら、いのちをテーマに表現しているアーティスト∀ KIKOさんにお話しを伺いました。

∀ KIKOさんプロフィール                  

出身地:北海道余市町

活動地域:日本全国

経歴:1997年 東京表参道の路上にて絵を売り始める。1999年より現在に至るまで、高幡不動尊金剛寺「ござれ市」に唯一のアーティストとして出展。2005年より日本全国各地で個展。2007年カナダ バンクーバーにてARTSHOW。2008年アメリカ サンフランシスコにて個展。2011年DJでもあった夫NOBUYAとのアートユニット「ARTGYPSY」を結成。NOBUYAが絵画作品を映像にし、∀ KIKOが自作の詩を朗読。そこに各地で活動するアーティストが参加し即興でコラボレーションする「ARTGYPSY ARTSHOW」が生まれる。2017年最愛のパートナーであったNOBUYAの突然の旅立ちを受けとめながら、アートをライフワークとする日々を送る。

現在の職業および活動:アートを通してあらゆる世代の人々、動物、植物、鉱物達と交流し、絵、詩、音で「いのち」を表現する絵描き。

出版物 画集「KANTO」「wor un nociw」「RED DATA ANIMALS」絵本「Simple Side.」の他にCDジャケット、ロゴ、Tシャツ、書籍などにも絵を提供している。

座右の銘: 平和はわたしの心の中から

生かされていることへの感謝

Q:いのちをテーマに描き始めたきっかけは何ですか?
∀ KIKOさん(以下 ∀ KIKO 敬称略):子どもの頃に5年間入院していたんです。その時を重い病症の子が入る子ども病院で過ごし、一緒に語りあったり笑いあった同じ病棟の子が旅立っていくときに、生と死がすごく近くにありました。子どもの時から絵や詩を創ることが好きだったから、その頃から描いていたんです。病院時代に創造の世界で生きていたということが、今の自分を作っている要素にとても影響していると思います。
記者:死が隣にあったんですね。
∀ KIKO:だからこそ、いのちに私は生かされて治癒して退院できたということに感謝しています。

亡きパートナーNOBUYAさんからの 15歳の告白

それと、NOBUYAとの出会いも大きいです。北海道の余市という場所で生まれ育ち、幼稚園からずっと同じクラスでした。小学校4年生の時に隣の席になって初めて一緒に遊ぼうと約束した次の日の朝、ランドセルを背負って行ってきますと言おうとした時に、私は原因不明の腹痛になってそこから5年間入院してしまったんです。それから退院して中学2年生の夏休みのキャンプファイアーでNOBUYAとフォークダンスをしたときに、「お帰り、絶対生きていると思った」と言ってくれて。中学の卒業式の時に、告白してくれました。その時の告白の言葉が、「君のことずっと好きだった。だけど僕は男と女としてだけじゃなく人間対人間として君と付き合って行きたい。君には才能があると思う、だから僕はその才能を守っていくために一緒に生きて行きたいんだ」と言ってくれたんです。それが本当にその通りだったお陰で、私は横道にそれずに自分の好きなこと、クリエイトすることだけにずっと集中できたから絵描きにもなれました。やがてNOBUYAと一緒にARTを通して活動することができたことがすごく嬉しかったです。

記者:パートナーという軽い言葉では言い表せない様な出会いですね。
∀ KIKO:そうなんです。魂なんです。ソウルメイトだし、感謝しています。
特に今は肉体はないけれど、すごくサポートしてくれているのを感じます。彼から溢れる愛も、私から溢れる愛もどんどん大きくなっているみたいです。生前に∀ KIKOの絵をヨーロッパ に持って行きたい。最初にやるならフランスだと口癖の様に言っていました。そうしたら2018年に本当にそんな話が来て、NOBUYAの采配としか思えませんでした。

NOBUYAさんの突然の旅立ち

NOBUYAは2017年のツアー中に突然旅立ちました。しかも北海道ツアーに出ている時でした。余市の故郷で初めて開催するのを楽しみにしていて、その前に札幌で個展とARTSHOWが2回ありました。無事に終わり、今日は最高だったよと話をしてくれて、宿に辿り着いた時に突然倒れてそのまま逝ってしまったのです。

翌日個展の最終日になんとNOBUYAからのメッセージを伝えてくれた人がいたんです。「∀KIKO突然逝っちゃってごめんな。でもこれは生まれる前から決めてたことで、これが終わりじゃなくて始まりなんだ。自分はこれからもっともっと∀KIKOをサポートしていくためにこっちの世界に居るだけだから、どうか安心してくれ」という言葉を聞いて、心があたたかくなりました。

本当の愛、口先だけじゃなくて心で感じる愛ってこういうことだったんだなと日々学んでるというか、体験させてもらっているという感じです。私はその体験を、アーティストとして自分の作品に込めていく。絵を見た人にそのエネルギーを感じてもらうために描き続ける表現者なんだなと思っています。

Q:どんな心の在り方や認識の変化が今の活動に繋がっていますか?
∀ KIKO
:瞑想に出会ったことがすごく大きかったです。25年前から、自分の内側をみつめるようになって変わりました。心の底からしたいこと、ワクワクすることを一番大切にする様になりました。

瞑想は自分自身と向き合うもの。どんどんどんどん自分の中に入っていくというか。表層意識では気付かなかった、或いは蓋をしていた、見ない様にしていた自分の中のドロドロしたものとか、醜い部分もどんどん内側に入って行くことで表面に現れてくる。本当の自分を見つめて自分を許して愛していく、という繰り返しをしているところです。

Q:AI時代に必要とされているニーズは何だと思いますか?
∀ KIKO
やっぱりそういう時代だからこそ、個々が自律している小さなコミュニティが大切なのではないでしょうか。ARTGYPSYとして各地を巡っている時に、地方の小さな町や村のコミュニティがしっかり出来てきているのを目の当たりにしてきました。そういう人達が実際に私たちを呼んでくれて、アートの活動の場を与えてくださっている。その人達は、お互いに助け合って結びついていて自分たちで作物を育て、各地にある小さなコミュニティ間で様々なものがスムーズに回るように働きかけている。本当にすごい勢いで実際にできています。だからそういう意味で未来は明るいというか。外側だけで言われている情報過多で精神がどうのというのとは真逆の、小さいけれども確かな力強さというのが芽生えているのを実際に見ているからこそ、明るい夢を持っているしそれを確信しています。
大切なのは日常、身を置いているこの場所。ワクワク楽しく生きていくことだなと思う。日々の生活、その時の心の持ちようが大事だと思っています。

記者
:本当の豊かさですよね。物理的なもので満たすよりは、なかなかそれが難しかったりしますね。
∀ KIKO:そうそう、周りと比べたり外ばかり見ているとそうなってしまうけど。大切なのは心だと思う。自分の内側が一番大切。

Q:これからどんな美しい時代を創っていきたいですか?
∀ KIKO
:自分が自然な生き方をしていることで、それがお互いに影響しあっていくから、言葉じゃなくてエネルギーで。だから自分が喜びとともに自然体で生きることが波動となって美しい地球を創る一部になると思います。

笑うことはすごく大切、最後は笑いだと思う。

NOBUYAが旅立つ直前のARTSHOWが終わった夜に笑福の湯という銭湯に一緒に入ったんです。それはNOBUYAにぴったりのエピソードだなと思って。自分で身を清めたのが彼らしかったし、笑いが大好きだったから。「最後は笑いだよ。悲しみの先には笑いだ。」といつも言っていました。

記者:突然だったんですよね。それをどうやってプラスに捉えることができたのですか?
∀ KIKO:瞑想してきたお陰です。最後に2人だけで過ごす時間を持てたことは幸せでした。そこで泣き崩れてというのは普通かもしれないけど、それはNOBUYAが望まないとわかっていました。生と死というのはすごく神聖なものだと思っていたのでその瞬間、堂々と旅立てる様にと思いました。ただ「ありがとう、愛しているよ。」と繰り返し語りかけました。聴覚は最後まで感覚として残るということを知っていたので。そして彼に触れてキスをしました。最後の瞬間NOBUYAが何も悔いを残すことなく逝けるように、神聖な門出を祝福する気持ちにすぐ切り替えられたことも幸いでした

記者:生きるということを考えさせられました。当たり前になりやすいですけど、当たり前ではないですよね。
∀ KIKO:NOBUYAはいつも、俺たちは明日死ぬかもしれないんだよ。だから今を精一杯生きなきゃと口癖のように言っていました。だから最後までやりきって逝った姿にはとても説得力があります。

Q:最後に∀KIKOさんが作品を通して伝えたいメッセージとはどの様なものですか?
∀ KIKO:私は、日頃から自分自身もこの宇宙のエネルギーの一部なのだと感じています。だから私は星のかけら、宇宙はひとつのいのちということですね。

そして、いのちそのものが愛というか。人と、接することも愛の交換だと思えるようになりました。色んな形の愛があると思うけど、大きな意味でそれらは一つだと思っています。それが地球の愛・宇宙の愛ということなのかなって。

AIも愛と読めますね。愛があるからこそ豊かさがある。まずは自分を愛して自分が最も喜ぶことをする。自分の心の平和がないと、地球の平和を願うことはできないと思います。大切なのは今この瞬間、日々生かされている事に感謝してクリエイトをし続けていきたいです。

記者:本日は貴重なお話をありがとうございました。

『SUPER PEACE』
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∀ KIKOさんの情報はこちらから

∀ KIKOオフィシャルサイト
http://www.nociw-artspirit.com/index.html

2019年∀ KIKO Moon calendar 発売中です。(片面の絵は∀ KIKOとNOBUYAの手がモチーフとなっています)
お問い合わせご購入はこちらまでご連絡ください。hideyamamefly@gmail.com

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【編集後記】
今回記者を担当しました、久保と菱谷です。
∀ KIKOさんとの出会いは、久保が高校生の頃に訪れた高幡不動尊でのござれ市がきっかけでした。作品を通して、より深く物事を感じ取る視点を持つ様になったとても印象的な出会いでした。日本から世界に向けて、言語に留まらない国境を超えた”いのち”へのメッセージを発信していく、これからの∀ KIKOさんの活躍がとても楽しみです。

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