「焼酎文化を通して日本人の素晴らしさを伝えたい」焼酎プロデューサー黒瀬暢子さん

焼酎女子会を開催したり、地域の焼酎を開発しながら、焼酎の美味しさ、楽しさを伝えている焼酎プロデューサーの黒瀬暢子さん。焼酎文化にどんな可能性を観ていらっしゃるのか、伺いました。

プロフィール
出身地   福岡県遠賀郡
活動地域   東京都を中心に、福岡県など全国各地
経歴   日本中に焼酎を広めた黒瀬杜氏の末裔として、焼酎が苦手な人、特に女性を中心に焼酎に親しんでもらうために「焼酎女子会」を定期的に開催中。焼酎の魅力・文化を発信する活動も積極的に行っている。
現在の職業および活動   
焼酎プロデューサー

焼酎文化を通して日本人の素晴らしさを世界に伝えたい

Q:どのような夢やビジョンをお持ちですか?

黒瀬   暢子さん(以下   黒瀬   敬称略)   世界に日本の焼酎文化を伝えたいです。そして、焼酎文化を通して、日本人の精神性や技術力の素晴らしさを知ってほしいと思っています。

   日本はモノづくりにおいて高い技術力を持っていますが、焼酎造りもとても素晴らしい職人技なのです。私は元々モノづくりの会社に勤めていることもあり、日本の技術は世界に通用すると感じていました。焼酎造りの技術を絶やさないように造り手を増やしていきたいです。

   焼酎は元々、江戸時代までは女性がつくっており、明治時代になって杜氏という職業になってから男性が中心になりました。黒瀬杜氏(鹿児島県南さつま市笠沙に集落出身の当時集団)は、当時ずっと日本酒の麹を使っていたところを、黒麹を使った焼酎造りの開発に成功し、九州、四国を中心に全国へと焼酎の造り方を教えに周りました。まさしく焼酎造りにイノベーションを起こしたのです。私はその黒瀬杜氏の末裔です。

   けれど、私がやりたいことは日本の焼酎業界文化を伝えていくことなので、焼酎全体を応援するというスタンスをとっています。

   今は、焼酎女子会を開いて、まずは焼酎を飲む機会を持ってもらうようにしています。女性は焼酎が苦手な人が多いのですが、例えば炭酸で割ってシャンパングラスに注ぐととてもオシャレになります。飲み方も、コーヒー、牛乳、緑茶など色んな割り方で楽しめますし、チョコレートやアイスにかけると高級なお菓子のようになります。それに、参加者みんなでワイワイやりながら新しい飲み方を開発すると、自然と仲良くなって、帰る頃には友だちになっているんです。

   又、地域活性にも貢献していきたいです。岡垣や宗像など、地域の焼酎を紹介したり、そこでイベントを開催することで地域のことも知ってもらえるかなと思っています。

   焼酎を通して、色んなご縁が繋がっていくんですね。焼酎文化をきっかけに日本の本当の歴史や素晴らしさを、日本に、世界に伝えて、「日本文化、カッコいいね!」って知ってもらいたいです。

ニューヨークで焼酎女子会を開催する

Q:「焼酎文化を通して日本人の素晴らしさを世界に伝えたい」という夢の実現のためにどのような目標や計画を立てていますか?

黒瀬   来年、ニューヨークで焼酎女子会をしようと思っています。そのための仕掛けとして、焼酎の飲み方の動画を英語字幕入りで作成し、YouTubeで公開しました。「驚異の女子会ティラノサウルス」というコミュニティに参加しているのですが、そこには女性のクリエイターやアーティストも大勢参加しています。彼女たちに協力してもらい、海外に通用するオシャレで楽しい動画に仕上がりました。「焼酎女子会enjoy」で検索して見てみてください(笑)。

   アメリカの人たちは日本文化が好きなので、知ってもらいたい日本の歴史などの情報も色々と集めています。例えば、古事記では、瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)が降り立ったのが黒瀬だと言われています(高千穂に降り立ったという説もあります)。そして、瓊瓊杵尊から初代天皇の神武天皇に繋がっているので、とても深い歴史があるんですね。

   又、焼酎はヨーロッパでは麹菌が育たないから造れないんですが、ベトナムやタイなど日本と近い環境では造れます。海外でも焼酎を造って、文化を残していきたいです。

自分の中の弱さに向き合う

Q:その目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような基本活動をしていますか?

黒瀬   私は弱いんです。というか、弱さしかないですね(笑)。

   「継続は力なり」と言いますが、壁にぶつかると簡単に挫けますし、怒りが湧いたり感情的になるとイヤになってすぐに止めようとしてしまいます。だから何とか続ける強さを持とうと試行錯誤しています。

   例えば、Facebookの投稿を1年半毎日続けているのですが、これは最初に「Facebookへのアップは3ヶ月間は毎日絶対にやるぞ!」と決めたからです。そして、3ヶ月間やり遂げたら、さらに「もう3ヶ月間やろう!」って決めます。そうして繰り返していると、Facebookにアップしないと気持ち悪くなってくるんですね。あと、すぐにネガティブな考えが走ってしまうので、ネガティブになりだしたら、他の人ならどう考えるかと想像します。自分ではない人の考え方を考えることで気持ちを切り替えられるんです。

   そんな弱い私が焼酎プロデューサーとしてここまで活動するのは、一人では絶対にできませんでした。色んな人たちの協力や応援があったからできたことですし、そんな出会いに本当にいつも感謝しています。

自分のルーツを知った

Q:「焼酎文化を通して日本人の素晴らしさを世界に伝えたい」という夢やビションを持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?

黒瀬   自分自身のルーツを知ったのが大きなきっかけでした。

   実は元々、焼酎好きだったわけではなく、ほどんど飲んだこともありませんでした。東京で「焼酎バー黒瀬」というお店をたまたま知り、「黒瀬」という同じ名前に惹かれてお店に行きました。そこで「黒瀬さんって名門だよね」と言われ、何となく気になって両親に聞いてみたところ、明治時代から続く黒瀬杜氏の末裔であることを初めて知ったんです。

   色々調べて自分で家系図をつくると江戸時代まで遡りました。その家系図を見て、自分がどこから来たのかルーツを知った時、この焼酎文化を伝えたいと思ったんです。

   ルーツを知ることは大切です。どんな人でも、先祖や住んでいるところなど、必ず何かには行き着きます。自分のルーツを知ることで、先祖に守られ後押しされているようで、強くなれるんです。

   そこから、自分にもできることから始めようと思って、毎日焼酎を色んな方法で飲み、飲んだものをFacebookにアップしました。焼酎プロデューサーとしての第一歩でしたね。

日本人ってすごい!

Q:「自分のルーツを知った」というきっかけの背景には何があったのですか?

黒瀬   「日本人ってすごい!」って、言いたいだけですね(笑)。

   とは言いながら、昔は全然そんなこと思っていなかったですし、自分が日本人だという意識もなかったくらいです。ただ、私の両親は両方とも職人の家系で、祖父は時計を直す職人でした。アメリカの軍人が修理をしてもらいに来ていた話を聞いていたこともあって、日本の技術の凄さは幼い頃から何となく感じていたんですね。それに、なぜか子どもの頃からルーツを知るのが好きで、歴史の本を読んだり、地元の遠賀郡の遺跡を訪ねたりしていました。両親も歴史が好きで、家に歴史の本が並んでいました。そんな影響もあったのか「自分とは何か?」「どこから来たのか?」といったことをよく考えたものです。

   就職は子どもの遊び場をつくる会社に入ったのですが、7〜8年くらい前から仕事で海外へ行くようになりました。東南アジア、フランス、台湾など色んなところに行きましたが、どこへ行っても日本をすごく褒めてくれたんです。日本人の細やかなところまで気配りがきく精神や技術力は素晴らしいって。歴史についても、私が日本の中で学んできたことと、海外から見た解析は違うことを知った時はショックでした。自分が日本人であり、日本人は素晴らしいのだと気づいたんです。

   そこから、日本の素晴らしさを伝えたいという思いを抱えていた時に、たまたま「焼酎バー黒瀬」に行き、自分のルーツと出会ったのです。焼酎プロデューサーとして活動しだしてからまだ1年半程ですが、焼酎のことや歴史など、学ぶことはまだまだたくさんあります。何より私一人ではここまで来れませんでしたし、不思議と一人でやっている感覚がないんです。いつも黒瀬杜氏の先祖が後ろから支えてくれている感じがしています。これからも先祖や応援してくださっている方たちへの感謝を忘れず、壁にぶつかっても自分の弱さに負けずにやり続けて、世界へと日本人の素晴らしさ伝えていきたいです。

読者への一言メッセージ

黒瀬   焼酎を飲みましょう!

記者   日本人の素晴らしさを伝えたいという思いを持っておられた時に、自らのルーツを知ったことで、焼酎プロデューサーとして活動されるようになったのですね。焼酎文化を通して、日本人の可能性を感じました!本日は貴重なお話をありがとうございます。

〜✳︎〜✳︎〜✳︎〜✳︎〜✳︎〜✳︎〜✳︎〜✳︎〜

黒瀬さんの詳細情報はこちら↓↓

焼酎女子会~円(en)joy!~ オフィシャルブログ

“TYRA way” of making delish Shochu cocktails and desserts – YouTube

画像1

【編集後記】
今回インタビューを担当した小水です。
弱さしかないと言い切った力強さがとても印象的な黒瀬さん。その強さは、日本の奥深い素晴らしさと自分自身が焼酎文化を通して繋がっておられるからなのでしょうね。
全ての始まりであるルーツと繋がった時、どんな条件にも左右されない強さを発揮され、世界に愛される日本をつくっていくイメージが広がりました。
黒瀬さんの今後の益々のご活躍を応援しています!

(Visited 571 times, 1 visits today)

こちらもぜひご覧ください

LEAVE YOUR COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です